住民・労働者を追い詰める新自由主義路線
安全無視の30万回発着枠拡大国交省・空港会社の暴挙許すな |
農民追い出しの
強行突破路線だ
成田空港会社は、平行滑走路の供用の強行(09・10)と同時に三千五百メートル化を明らかにした。現在の二十二万回の発着枠を二〇一一年度中
に二十五万回、一二年度中に二十七万回、一四年度中に三十 万回へと増枠することを掲げ、A・B滑走路の同時離発着方式によって空港処理能力を拡大しようとしている。航空機離陸後の接触事故を回避するための離陸時間差、十五度以上の開きを確保しなければならない安全ルールさえも取っ払おうというのだ。単線的延長による発着枠増加は、過密ダイヤの拡大による管制業務疲労、ニアミス・接触事故、滑走路離発着事故の多発化へと結びついていることは明白だ。また、CO2排出量減少運航政策を否定し、飛行コース下住民に対する轟音・ジェット機排気ガスをまき散らしながら環境・生活を破壊している。
森中空港会社社長は、年頭会見でB滑走路延伸とともに「用地問題の年内解決に向け、最大限努力する。空港に反対する地権者の信念は尊重しながら、誠意をもって話し合いを続けたい」「未買収地の年内解決を目指して努力する」と豪語し、東峰住民の追い出しを宣言した。また、成田市と一体となってB滑走路の三本目の誘導路の建設予定地として市道「十余三・天神峰線」(団結街道)を廃道にして天神峰地区の市東孝雄さんへの追い出し攻撃を強めている。成田市議会は、市道・十余三天神峰線廃止の可決(3・17)を強行し、空港会社に譲渡することを強引に決めてしまった。廃道攻撃に抗議した市東さんらを権力は不当逮捕(5・17)する暴挙へとエスカレートしている。
規制緩和へひた
走る前原路線
空港会社の暴走をバックアップしているのが前原・国交省路線だ。アジア国際空港競争からの遅れを取り戻すために成長戦略会議(5・17)は、羽田・成田空港の一体的運用、羽田の国際空港化、新自由主義的規制緩和とオープンスカイ(航空自由協定)の促進などを強調し、財界の意向を忠実に代弁して金儲けの「千載一遇のチャンスである」などと位置づけている。前原国交相は、過大航空需要予測をはじき出したインチキコンサルタント会社の資料を基にして「二〇三〇年に首都圏航空需要は年間九十四万回が必要」などといまだに言い続けている。
戦略会議は、成田空港建設拡張について「地元協議」と称して空港推進派をカネと利権によって絡め取り「我が国最大のボトルネックの解消が見込まれる」と断言した。空港推進派は、前原・国交省の成田・羽田内際分離の解体から羽田ハブ化再編への流れに対抗しつつ、悪乗りする連中が立て続けに登場している。
森田千葉県知事は、成田空港緊急戦略プロジェクト会議をスタートさせ、三十万回発着増とともに成田空港周辺地域へのカジノ構想をぶちあげプロジェクトチームを設置するほどだ。成田空港圏自治体連絡協議会も成田空港の運用時間延長(現在、午前6時から午後11時まで)を検討することを要請し(09・12・15)、しかもその見返りとして運用時間帯の着陸料を地元の対策に充てろとまで言い出している。推進派の先頭を担う相川芝山町長は、「シンポ・円卓の約束事のなし崩しは望んでいない」などと言っているが、空港会社から諸対策費の支出とその増額を引き出させるところにねらいがある。
事前のシナリオ通りに森中空港社長が「私どもを力強く後押ししていただける提案。地域の皆さまに納得していただける形で議論を積み上げ、できるものなら早期に実施したい」と言い放ち、「地元の後押しを得て三十万回も視野に入ってきた」、「地元の提案で運用時間延長も議論しており、二十四時間対応の空港と遜色がなくなる」などと言い出し始めている(3・9)。
このような強引な空港会社の三十万回発着枠スケジュールは、この十月中にも地元合意をとりつけ、A・B滑走路からの同時離発着を二〇一一年冬期ダイヤから開始し、二〇一二年度二十七万回達成に突進しようとしている。
格安航空会社
参入と過密化
さらに空港会社は、LCC(格安航空会社)の本格的な参入促進にむけて二〇一二年度にまでに横風用滑走路の南側の整備地区にLCC専用ターミナルを建設しようとしている。十月の暫定運用を試みながら「航空自由化政策の範疇に入る」などとアピールしているが、その本音は十月の羽田空港国際化に対する対抗でしかない。成田地盤沈下阻止のためになんでもありなのだ。要するに安全軽視のLCC会社と過密運航状況がセットになった航空機事故多発空港に踏み出すということなのである。
航空規制緩和政策による格安航空会社の参入増加は、低価格チケット競争への激化へとつながり、少しでもコスト削減するために航空労働者人員整理・合理化と安全のための航空整備システム費削減へと直結する。安全上のリスクを乗客に押し付ける居直り航空経営でしかない。
すでに三十万回発着枠スケジュールの一環としてB滑走路を原則着陸専用、A滑走路は離陸専用の運用を取り入れた(3・28)。必然的にB滑走路飛行コース直下地域、A滑走路飛行コース直下地域の住民に対してすさまじい轟音をたたきつけている。さらに両滑走路からの同時離陸を強行(2011年度冬ダイヤ)し二十五万回へと増加されるなら、これまで以上の甚大な被害が発生することは確実だ。身体的危険性のレベルアップであり、重大な犯罪行為を押し進めようというのだ。
噴出する住民
の怒りと不安
ついに住民の反発が公然化した。成田市旧下総町地区説明会(2・20、空港会社、成田市が出席)では、「飛行回数が一・五倍になるのに、コンター(騒音地域の予測図)が縮小すると言うのは理解できない。騒音評価方式がおかしい。会社は『三十万回コンター』を撤回するべきだ」という強い批判が上がった。空港会社は、航空機の低騒音化で影響範囲が狭まるなどというインチキ説明で合意をなんとかとりつけようと必死だ。しかも防音工事費、移転補償費などを少しでも削減したいがために対象地域を縮小することがねらいだ。醜いあせりを隠そうともせず傲慢な態度を繰り返しているのだ。
芝山町説明会(5・22)でも「本当に三十万回が必要なのか。需要がないのでは」「容量拡大が住民生活にどんな影響を及ぼすのか説明されていない」などの意見がでるほどだ。
久住公民館説明会でも(5・29)参加した住民は、「大人の判断で二十二万回に拡大するときは譲歩したが、今回は容認できない」「空港と共生するため我慢している。要望は実現してもらいたい」などと強い抗議が出ている。小泉一成市長は、「法制度の壁や財源の問題がある。(空港会社や県など)関係機関と協議を重ねている」と弁明に終始した。
共謀関係にある行政幹部と空港会社は、形だけの説明会で合意できると想定していたが、怒りに満ちた住民の反発・不安に直面することになった。今後、これまで以上に住民分断・切り崩しを強化していかざるをえないところに追い込まれている状況なのだ。ところが住民の怒り・不安は沸騰点に達しているにも関わらず、小泉成田市長、相川芝山町長ら推進派は、「成田空港の容量拡大(30万回)実現のための提案書」(7・13)〈防音・空調工事費補助、対象地域の減税制度、財源確保〉を空港会社に提出した。
空港会社は、事前の打ち合わせ通りに、このメッセージを「地元合意」であると手前勝手にでっち上げ、用意してあった森中社長のコメントを明らかにし、「騒音下を抱える自治体として空港と共に活きていくために、三十万回を実現することを確認し、推進することを決めたとお聞きし、地域合意の前の画期的な決断であると、感謝しております」などと決め付け、財源確保をしてやると決意表明する茶番劇を演じている。こんな住民無視、営利主義優先の空港会社を許してはならない。
全国の空港反対
運動と連帯を
成田空港会社の三十万回発着枠達成にむけたなりふり構わぬ対応に新たな応援団が参画してきた。
〇九年三月二十三日のフェデラルエクスプレス機の横転炎上事故の記憶がまだ生々しいが、運輸安全委員会は中間経過報告を明らかにした(4・16)。ところがウインドシェアが発生していたにもかかわらず、ボイスレコーダーにパイロットがそれを示す音声が記録されていなかったことをもって、着陸時の機首下げ誤操作による垂直荷重で左主翼に制限値以上の加重で着陸失敗事故となったとまとめている。つまり、ウインドシェア事故原因説を否定する姿勢を示しながらパイロット操縦ミスだと結論づけようとしているのだ。ウインドシェア事故原因説を選択してしまうと成田空港の存在自体が問題となってしまうからだ。
国内外のパイロットたちは、「成田は乱気流が多くて怖い。嫌いな空港だ」と述べている。こうした世界的評価をフェデラルエクスプレス機着陸事故の事実によって証明することだけは絶対に避けたいのだ。運輸安全委員会も結局のところ成田空港会社防衛を優先する出先機関でしかないことを自ら認めてしまった。
最後に成田空港会社を厳しく糾弾する東峰地区で「らっきょう工場」を営む三里塚物産の平野靖識さんのメッセージを紹介する(市民運動「四つ葉会」の「伝えたいこと、変えたいこと ひとこと言わせろ」欄から)。
「時変われば様変わる。やがては無用の長物となるやもしれぬ成田空港」と題して、「空港会社と空港利権にすがる勢力にとって、成田空港の地盤沈下はなんとしても避けなければならない。そこで『離発着の方式を変えれば三十万回も可能だ』とか、『平行滑走路を反対住民の住む南側にも延長して三千メートルにしよう』(森中空港会社社長)などといっている。妄言というしかない。地域の合意なしに作られる空港は、どこまで行っても不便であり、危険でもある。反対農地のために『く』の字になっている第1誘導路、集落を大きく迂回しなければ滑走路端にたどり着けない第2誘導路。空港会社ではさらに第3の誘導路を第1の西側にも作るとしている。『グロテスクな空港になってしまった』と空港会社の幹部さえ認めている」と押し出し、いつもの平野節で批判している。
安全軽視、人権破壊の三十万回発着枠の拡大・滑走路再延長を許さず、三里塚農民追い出し攻撃、共有地強奪はね返していこう。全国空港反対運動と連帯し、前原・国交省路線を打ち砕いていこう。 (遠山裕樹)
投書
「やむにやまれぬ暴力」
も正当化されない
豊田直巳(フォトジャーナリスト)
『かけはし』2131号「読者からの通信」、SMさんにお伺いしたいのですが?
はじめまして
豊田直巳と申します。
さっそくですが貴兄の投稿にちょっと気になってメールを差し上げます。
「ビルマVJ」への貴兄の投稿についてです。
私は残念ながら「ビルマVJ」はまだ、拝見しておりません。それで、以下のようなご質問をするのは、「十年早い」のか、「顔を洗って出直しした」方がいいのかもわからないのですが、ちょっとSMさんのご投稿で、わからない(「かけはし」の読者の投稿という意味で)ので、教えて欲しいのですが。
SMさんがお書きになった「不当な暴力は、許されない。だが、正当防衛なら、許される。革命的非暴力主義者は革命的暴力(やむにやまれぬ暴力)は認めている。」についてです。
何故、『かけはし』の読者である貴兄が、上記のようにお書きになるのかわからないのです。
「正当防衛なら、許される」とは、日本の刑法第七章、三十六条の(正当防衛)
「第三十六条 急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
2 防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。」
を、指しているのでしょうか?そうだとすれば、「不当な暴力は、許されない。だが、正当防衛なら、許される」の文脈上、「不当な暴力」か、否かの判断は、法律に基づいて裁判所が判断する類の「不当」または「正当」であり、あるいは、その判断をなしていいのは、裁判所ということで、いいのですか?
また、後段の「革命的非暴力主義者は革命的暴力(やむにやまれぬ暴力)は認めている」について、「革命的暴力(やむにやまれぬ暴力)」とありますが、これも「やむにやまれぬ暴力」か、否かの判断は、裁判所が行うという意味ですか?
むしろ、それなら、私は理解できるのですが(「かけはし」読者としてという意味です)。
というのは、SMさん投稿の翌号(2132号)に追悼記事が掲載されておりましたが、その中で、私は存じ上げませんけれども、お亡くなりになった三木さんという方の追悼をお書きになっている尾形さんの記事の中に、「中核派によるわが派に対する襲撃事件だった。私たち二人は関西におけるテロの被害者になったのだった」と、憤りと苦しさをもってと感じさせられる言葉が記されております。
私も、「テロ」に、怒りと悔しさをもって読ませいただきました。その「テロ」が、「不当」であるか、否かを裁判所が判断すべきだと、SMさんはお考えになる論理で、先の文章をお書きになっているのでしょうか?
調べてはおりませんが、「襲撃事件」「テロ」を行ったという「中核派」が、「革命的暴力(やむにやまれぬ暴力)」を行ったと考え、公言しているであろうことは、想像に難くありません。また、もちろんSMさんが、その「中核派」の「テロ」を、お許しになる、いや、「やむにやまれぬ暴力」の行使だから支持する、との立場に立っているとは思いません。
もちろん、私は「もしかしたら、私は重箱の隅をつつくような、「言いがかり」を記しているのかもしれない」との自覚を持って書かせて頂いております。
と申しますのは、SMさんの「(注)」を拝見すると、きっとSMさんも、常日頃からあゆる暴力に反対なさっているのに、「ビルマVJ」をご覧になっては、ビルマ軍事政権に対しては「暴力」やむをえないと、思われるほどに、映画が凄まじかったのでしょう。思わず「やむにやまれぬ暴力」も仕方がないとお思いになったことが、読み取れます。
だからこそ、一方では、「(注)」をご自分でもお書きになって、「本当に『革命的暴力』は肯定されるべき」なのかとのお迷いが生じていることも、お書きになっています。
その中では、右島さんの「武装闘争が革命を主導するなどということを考えることは出来ない」との引用もなさっております。
私は、たまたま右島さんが、南アルプスでお亡くなりになる、半年ほど前だったでしょうか、日比谷野音で右島さんとちょっと立ち話をする機会があり、右島さんが、まさにそんなことをおっしゃっていたことを思い出しましたので……。SMさんの真意が、どの辺りにあるのか、伺ってみたいと思い、メールを差し上げる次第です。
また、私自身が、仕事柄、普段から暴力については、無い頭で考えざるを得ないので、上記のような疑問を持った次第です。
失礼があれば、お許しを。
2010年7月18日
「日本の鯨食文化」に
ついて幾つかの質問
OE
「かけはし」7月19日号『架橋』日本の鯨食文化について質問します。
b「ザ・コーブ」は、「やらせ」や「嘘」が多々あることが明らか:一つも例題を示さず、そう決めつけるのは、如何なものか。確かに、二つのシーンを繋ぎ合わせた演出はあります。また、水産庁の役人と、「言った、言わない」の水かけ論争にもなっています。
bイルカの「駆除」を兼ねた捕食が行われた:イルカや鯨が、他の魚を食べすぎるということは、科学的には証明されていないようです。現在、太地町のイルカ漁は、「害獣の駆除」は副次的なもので、主には捕らえたイルカを世界の水族館に売り捌き、残りは食用にするというのが、実態ではないでしょうか。
bイルカは海の食物連鎖の頂点にいるそうです。そのため高濃度の水銀が、蓄積されているそうです。当然、人間がイルカを食べれば、影響します。太地町住民の水銀濃度が、国の検査により全国より格段に高いことが、明らかになりました。「反捕鯨派のプロパガンダ映画」という前に、この事実にも触れるべきでは。
bイルカ漁は「日本の伝統・文化」であるならば、なぜ隠れて、こそこそやらねばならないのでしょうか、堂々と内外に公開すべきです。
b差別映画(当時)「橋のない川」上映阻止闘争を行った「実績」:現在では、差別映画ではないのでしょうか、私は当時から差別映画とは、思っていません。また上映阻止闘争は、正しかったのか、否か、「表現の自由」も含めて、どう総括されているのでしょうか。
b二段目の「今回の一部右翼による街頭妨害行動を〜排外主義右翼の街頭カンパニアを許してはならない」:何か言っていることが矛盾しているのではないでしょうか。
以上疑問点です。できれば、紙面で回答してもらえれば、幸いです。
7月21日
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