かけはし重要記事

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警察・検察・裁判所をただす2.26シンポジウム     かけはし2000.3.6号より

今、労働組合の権利が危ない

権力による労働運動への不当介入を許さない

全国連絡会議の結成かちとる

 【大阪】警察・検察のみならず、裁判所までが法に基づく労働組合の権利を保障しない。戦闘的な労働組合に対しては、特にこのような事実が顕著になっている。関西生コン支部への弾圧もその一つである。このような状況に対応していくためのシンポジウムが、槙枝元文(元総評議長)、宮里邦雄(日本労働弁護団副会長)、佐高信(評論家)、河本末吉(全港湾委員長)など九氏の呼びかけによって、2月26日、大阪の東洋ホテルで開かれた。
 集会は山原克二さん(大阪ゼネラルユニオン委員長)の司会で進められた。来ひんとしてあいさつした嘉山將夫さん(中小労組政策ネットワーク常任運営委員)は、東京での経験を紹介し、権力は隙があればいつでも弾圧をしてくる、団結して反撃していこうと訴えた。

労働組合の存在こそ民主主義の証し

 つづいて、熊沢誠さん(甲南大教授)の記念講演に移った。熊沢さんは、「労働組合を弾圧する奴ほど悪い奴はいない。労働組合が承認されることがその社会の民主主義の証である。今の若者で労働組合に入らなければいけないと思っているものはいない。そこで、なぜ労働組合が必要なのかを若者に説明するように話してみたい」と言って講演、次の四点を強調した。
 @労働力商品は他の商品と違い、日々売らないと生活していけない。だから本来、売り手が不利。生活に窮し、競争して安く売るのを避けるために組合が必要だ。
 A労働組合がないと、職場の日常の具体的な労働条件の決定に参加できない。バイ・ザ・ピープルが最も大切だ。このようなことについては政治は何もしてくれない。
 B資本主義は共同体を解体し、労働者をアトム化した。一生懸命働いて成功し起業家になれ、が資本主義の公認の哲学。しかし多くの労働者はもうひとつの生き方・組織労働者を選択する。仲間同士競争せず、平等を通して生活の保障を求めていく。助け合うことによって、個人の受難を救う、それは労働組合がないと出来ない。
 C社会保障の充実など必要な政治活動を有効にする組織力としての労働組合。これがないと、「一票の力」になってしまう。
 日本では、1945年、労組法によって労働三権が承認された。労働者が獲得した労働三権、特に争議権については、刑事上と民事上の免責があると言うことが重要である。また、不当労働行為という概念の合意についてもそうだ。
 戦後確立したこの権利が、1990年代に入って、世界各国で危機に直面している。その原因は、経済のグローバル化であり、競争至上主義・規制緩和である。そして、日本ではその上に日本に顕著な状況が加わる。ストライキの不在・組織率の低下・日本型能力主義が進んで、労働者はバラバラになっている。

関西生コンの闘いの経験から

 時間の関係で、講演の続きはシンポジウムの中でなされた。続いて、武健一関西生コン委員長の経過報告に移った。
 高度成長期に生コンが増え、労働者は奴隷的な労働条件下に置かれていた。このような状況の中で、35年前、産業別労働運動をめざし、個人加盟を原則とする関西生コン支部が出発した。組合が獲得した雇用政策・福祉政策は未組織にも適用していった。
 それで、1980年代、日経連の弾圧が始まった。そこで、1990年代産業政策をかかげ、闘いを前進させていった。企業も共鳴し、労働組合の行動によって、業界をまともにしていく。いま、産労(同盟系)・全港湾と一緒に政策協議会をつくっている。
 武さんは、生コンメーカー「世界産業」争議を中心に報告した。
 以前は砂を扱っていた千石が世界産業(オーナーは江波)の力をかりて生コン業に参入するとき、世界産業の政治力をかりたのだが、世界産業は千石を通してこの業界に入り、中小零細組合を潰し、商権を自ら獲得することにねらいがあった。関西生コン支部が千石に関与したのは、1982年である。
 千石が輸送部門を別会社にした。ここに関生が組合を作ると会社を潰し組合員は解雇、そして別の会社を作る。これをくり返す。不当解雇の裁判は勝ったものの賃金は払われていず、会社は倒産。しかも組合つぶしは免罪されたままで、世界産業の実態支配は続いている。
 そこで、住友セメントに要請行動をしたため、世界産業の生コン生産が一カ月止まり、世界産業は3億4千4百万の損害賠償を請求し、大阪地裁が2億6千万の損害賠償を命じた。江波の政治力を警察や司法が利用したと言うことだ。
 「しかしこの弾圧は、ひとり関西生コン支部へのものではなく、日本の労働組合全体にかけられたものである」と武さんは結んだ。
 休憩をはさんで、パネルディスカッションになった。

産別闘争、地域闘争の強化と結合を

 最初に発言した全港湾の河本さんは「現実がグローバル化している。産別・地域闘争でないと雇用は守れない」と強調した。
 「いま、港湾でも、以前だったら一時間に28本のコンテナを処理していたのにいまは40本処理しているから、労働者の数も三分の一に減っている。会社は、生き残るために、労働運動を潰す。港湾には、権力の弾圧はないが、アメリカの船会社からの圧力がある。企業と労働者の生活を守るため、事前協議を労使協定で決めている。幅広い運動をしないと、孤立化する。思想武装も必要だ」と訴えた。
 丸山哲男さん(大阪労働者弁護団代表)は、世界産業の損害賠償については、労働者弁護団総力で取り組み逆転してみせると、決意を述べた。
 そして、司法が反動化しているその背景として、自民党長期政権下で、政・官・財が、司法を直接支配をしてきたこと、最高裁による人事統制、労働事件については、特別案件として、最高裁に報告義務を課していることを述べた。最近は、労働委員会で勝っても、裁判所に不服申し立てをし、覆してしまう(国労の例)。経済界に都合のいい司法改革だ。
 これらのことが、中央省庁機構改革による国家の管理機能強化と結びつこうとしている。丸山さんは、警察機能が内閣府の任務になり強化されることに含まれる危険に警鐘を鳴らした。
 熊沢さんは、講演の続きとして訴えた。「いまほど労働組合が頼りないと思ったことはない。そのことが、司法や警察権力をだらしなくさせている。みんなサバイバルで必死になっている。分社化によって、骨のある労働者の排除が至るところで起きている。分社化すれば、雇用責任を持たなくてもよい、社名変更で免れられる、とんでもないことだ。王道はないが、広く宣伝して、知られるようになれば勝てる。日栄がそうだ。労働条件を産業別的に制度化するしかない。労働条件の平準化だ。労働条件の国際相場を作ること。一人の問題を通して社会を見る思想を」と、これからの運動のすすめ方について、助言した。
 最後に、武さんは「倒産したときは産業別として共同雇用責任を負い、平均賃金保障をする協定を結んでいる。大手ゼネコンに対して、中小が団結することを労働組合が手助けをする。そして共同購入・共同販売をし、売り価格の適性化・新規参入の抑制という産業政策を普遍的に広めていきたい」と決意を述べた。
 パネルディスカッションの後、「権力の労働運動への不当介入に反対する全国連絡会議」の結成が、中岡基明さん(全国一般全国協議会議長)から提案され賛同を得た後、中岡事務局長、小谷野毅(中小労組政策ネットワーク)・山原克二・加来洋八郎(全港湾大阪支部)・奥園健児(建設運輸連帯労組)の4人の事務局次長体制で運営していくことが確認された。そして、全港湾大阪支部馬場徳夫委員長の団結がんばろうで閉会した。(T)


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