| 言論弾圧か腐敗や親日派との闘いか かけはし2001.9.10より |
「最後の聖域」と呼ばれていた人々が、ついに拘束された。八月十七日夜、パン・サンフン朝鮮日報社社長とキム・ピョングワン前東亜日報社名誉会長、チョ・ヒジュン前国民日報社会長など言論社主三人がソウル拘置所に収監された。国税庁の税務調査が始まってから六カ月と十日、検察が言論社主捜査に乗り出してから一カ月と二十日目のことだ。社主の身辺処理をめぐる幾つかの推測も、わが社会において言論社主がどれほどたいへんな人々であるかだけをいまさらながらに確認させたまま、話のタネとしての生命を尽くした。
嫌疑が確定すれば
重刑の可能性高い
もちろん、彼らの拘束が最後の聖域の歴史的消滅を意味するわけではない。言論社主が拘束されるその瞬間までも、言論社への税務調査と言論改革をめぐるわが社会の対峙の構図は微動だにしなかった。「聖域なき適法処理」の主張と「批判言論の飼いならし」の主張は拘束以後にも剣の切っ先のように対立している。ただ拘束を前に「証拠いん滅および逃走のおそれ」、「社会発展に寄与した情」という、いささかせこく枝葉末節的な問題が争点として浮かんでは消え、浮かんでは消えしただけだ。
言論社主の拘束において彼らの「空間移動」以上の可視的意味をすぐさま求めるのは難しいようだ。だがボールが司法部に渡った以上、闘いの性格は、いずれにせよ第二段階にさしかかったわけだ。闘いが整理される局面ではないという手がかりは至る所でとらえられる。「社主拘束」という既成事実の下で展開される新たな闘いは人物中心に結ばれていたこれまでの闘いよりも、むしろ戦線の拡大を呼びおこしかねない。そして戦線の拡大は闘いの結果が以前よりもはるかに全社会的なものであることを予告するものでもある。
犯罪と刑が確定するまでには、まだ多くの時間が必要だろうが、検察が捜査を通じて明らかにした社主たちの嫌疑は、ともかくも彼らと民心との距離を一層広げ、その間にくっきりとしたラインを引いたものと思われる。国税庁が告発した脱税額は検察の捜査過程で大きく減るだろうという当該言論社の「希望まじり」の予測報道とは違って、脱税額はほとんど減らないうえに、主要言論社の社主たちの数十億ウォン台の横領の嫌疑まで明らかになったからだ。
検察捜査によって追加で明らかになった社主たちの横領嫌疑の金額は、朝鮮日報パン社長四十二億ウォン、東亜日報キム前名誉会長十八億ウォン、国民日報チョ前会長七億八千万ウォンなどとされている。パン社長の場合、法人の部外資金三十一億五千万ウォンのうち社主一家の系列社の増資代金として使用した七億七千万ウォンを除いては、すべて現金で引き出された部分が横領の端緒となったものと伝えられている。キム前名誉会長は取材活動費十二億ウォンと広告活動費三億二千万ウォンなど全部で十五億ウォンを個人の用途で使用し、チョ前会長は印刷下請け費三十一億ウォンのうち運動用品の購入費として一億ウォンを使用したり、現金で求め使った部分などが捕捉された。
検察は起訴段階までに残された時間の中で一部社主たちの背任や財産の海外逃避などの嫌疑を追加調査する方針であると伝えられる。しかし、それなりの各嫌疑はすでに拘束令状請求の段階ですべて捕捉されており、大規模な個人不正がさらに出てくる可能性はそう大きくはないというのが検察周辺の見通しだ。そうは言っても検察がすでに明らかにした嫌疑が法廷で受けいれられれば三人ともに特定犯罪加重処罰法によって重刑を宣告される可能性は高い。
よしんば裁判の過程で有・無罪の判断金額や情状酌量などによって身体刑に対する刑量が減じられたとしても、脱税額の二〜五倍にもなる罰金の額は百億ウォンを超えかねない。社主の資金能力によっては該当言論社の所有権の変化も完全には排除できないのだ。一方、該当言論各社と社主たちは法廷闘争に備えて超豪華陣営の弁護人団を構成した。この弁護団は今後、脱税嫌疑の規模や方法、動機などについての弁論を通じて有・無罪自体を正面から争うものと伝えられ、最終確定判決までは激しい法廷での攻防が続くものと見られる。
だが実質的な二回戦は法廷外でなされるものと予想される。法廷での争いが法理をめぐる制限された戦線で定められた日程にしたがって進められることに比べて、法廷外ではさまざまな勢力が民心と世論を掌握するための極めて躍動的で予測困難な闘いを展開するだろうからだ。現在のところ社主が拘束された該当言論各社の先攻が際立っている。
東亜日報は編集局
長と社主が対立
今回も攻撃の先頭には朝鮮日報が立っている。パン社長は八月十七日、ソウル地裁で令状実質審査を受けた後、あらかじめ準備した陳述書を読みあげるという悲壮な姿を演出した。パン社長は「社友の皆さんに捧げる言葉」と題したこの陳述書で「朝鮮日報にある数百個のペンのうち一本のペンが折られれば残るペンたちは再び言論の自由のために闘うであろう」というキム・デジュン主筆(注、大統領と同姓同名の別人)の言葉を引用して朝鮮日報の社員たちに「言論の自由のために闘ってくれ」と注文した。彼の注文に応えるかのようにキム・デジュン主筆は系列社の株式譲渡の過程で株主名義と口座とを借りてやった経緯などを調査するための検察召喚を八月二十日現在、拒否し続けている。
また朝鮮日報は最近、三度にわたって社外報を発行し、本紙に折り込み読者に回している。これまで朝鮮日報は親日の前歴について外部執筆陣の口を借りて「不可避性」を強調してきたが、社外報を通じては「親日ではなく抗日だった」というはるかに攻撃的な主張を展開し始めた。朝鮮日報反対市民連帯キム・ドンミン代表(ハニルチャンシン大教授)は「オーマイニュース」を通じて、これを「曲学阿世」だと猛烈に批難するなど、朝鮮日報の「過去」に対する論難はどんどん熱くなるものと思われる。
朝鮮日報は社外報の効果が大きいと判断し、自社に対する外部批判に反ばくする社外報を今後もずっと発行していくものと伝えられている。朝鮮日報の内部事情に詳しいある人は「朝鮮日報は社主の拘束とは関係なしに政府攻撃の準備を積み上げていくとともに、攻撃のレベルを高めていくものと思う」「朝鮮日報が準備しているものが何なのかは具体的には分からない」と語った。
朝鮮日報に比べて東亜日報は単一のチーム・ワークを形成できないまま内部葛藤が避けられないものと見られる。キム・ヨンジョン編集局長が最近、編集局員らに「社主の拘束や税務調査から独立的な紙面を作っていく」と明らかにすることによって、今回は拘束を免れたキム・ピョンゴン前副会長やキム・ジェホ専務などの社主一家と葛藤関係におかれている。そのうえキム局長赴任後二カ月になるまで、社主体制で構成された編集局幹部らが果たせず、キム局長と社主との間の距離を隔てた闘いは激しくなるものと見られる。
言論界のある関係者は「編集局長信任投票制のために記者たちの信任投票を通過できる代打を探せず、突然局長を変えては深刻な内紛に包まれるだろう」し「キム局長が簡単に落馬することも、内部の雰囲気が突然変わることもなく、一時期、緊張関係が続くだろう」と見通した。東亜日報の未来は依然として編集局の記者たちをはじめとする内部構成員たちの手にかかっている、というわけだ。
「第二次言論大戦」の新たな変数は政治圏が提供するものと見られる。与野は八月二十一日、言論社税務調査についての国政調査特委を構成した。民主党議員八人、ハンナラ党議員十人、自民連議員二人で構成された国政調査特委は民主党キム・テシク議員が委員長を担ったものの、キャスティングボートを握った共同与党の自民連がハンナラ党と協調していくとの意志をほのめかしており、調査の過程は平坦ではないものと予想される。
定期刊行物法改定
の動きも始まった
ハンナラ党は国政調査を通じて「税務調査の政治的意図を問いつめる」とし、国税庁はもちろん青瓦台(大統領府)関係者まで証人として採択しようというのに比して民主党は「税務調査に介入したという相関関係や物証を提示してこそ初めて証人として呼ぶことができる」のであり「むしろ言論社主を証人として立てるべきだ」と対立している。このような内部の事情のせいで政治圏では、いざ国政調査をしても与野ともにいかなる実益をもえられないだろうとの懐疑論も台頭しているのが実情だ。
むしろ政治圏での変数は与野の少壮派議員たちの集まりである「政治改革のための議員の会」(政改会)にかかっている。政改会は八月十四日、運営委員会で定期刊行物法(定刊法)改正案を準備して国会に提出することに決定した。全改会は九月三日、全体会議で小委員会を構成し、世論の集約作業を経た後、改正案を確定することにした。政改会は定刊法の改正内容として@編集権の独立A所有持ち分の制限B発行部数公示制度C社会的責任性の担保などを挙げている。一方、与野の重鎮および民主化運動出身の人士たちで構成された「和解と前進フォーラム」も独自的な定刊法改正案を準備・推進中だ。
だが現実的に定刊法が改正される可能性は極めて低いというのが政治圏内外の展望だ。ハンナラ党が市民諸団体の定刊法改正案に強く反対しているうえ、民主党指導部も定刊法に手をつけるのを負担がっているからだ。定刊法を扱う文化観光委員会を通過することさえ容易ではないだろうというのが支配的な見通しだ。キム・ジュオン言論改革市民連帯事務総長は「ともかくも政治圏の一部で定刊法改正の動きが具体化していることだけでも大きな変化が表れたもの」であり「言論改革市民連帯をはじめとする市民社会各団体は今年中に法を改正するとの目標で、あらゆる努力と手段を強く求めていく」と語った。
(「ハンギョレ21」第373号8月30日付))
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