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                            かけはし2001.10.22号より

アフガニスタンとパキスタン─
情勢の現状と展望をどう見るか

パキスタン労働党ファルーク・タリク書記長に聞く

 アメリカによる侵略戦争の中で、アフガニスタンで過酷な独裁支配を行ってきたタリバン体制の危機が急激に進行している。以下は第四インターナショナルを支持するパキスタン労働党の書記長ファルーク・タリクに対して、第四インターナショナル・フランス支部LCR(革命的共産主義者同盟)の週刊紙「ルージュ」がインタビューしたものである。パキスタン労働党は戦争に反対する闘いの先頭に立っている。

 米英のアフガニスタンへの侵略戦争に反対する闘いは世界各地で広がっている。空爆の先頭に立つ労働党ブレア政権のイギリスでは、十月十三日にロンドンとグラスゴーで集会とデモが行われ、ロンドンのデモには四万人、グラスゴーのデモにも一万人以上が参加した。以下に掲載する全国鉄道海事運輸労組(RMT)の戦争反対声明は、この十月十三日のデモに組合旗を掲げて各支部が参加するよう呼びかけている。



――タリバン体制は危機に陥っていますか。

 はい。彼らは深刻な困難にぶつかっています。その理由はきわめてはっきりしています。タリバン体制は、アフガニスタンの全歴史の中で最も残忍で非人間的なものです。
 タリバン体制の真の犯罪とは、アメリカ帝国主義が私たちに信じ込ませたがっているように彼らがテロリズムの避難所となり、テロリズムを輸出している、ということにあるのではないのです。彼らはそうしたことも行っています。しかしこの体制は、イスラムの名において国内で、アフガニスタンの普通の人びとの生活を地上の地獄にしてしまうような残忍な手段を導入してきたのです。
 人びとは、地獄を体験するために死を待つ必要はありません。人びとはすでにタリバンの残忍な体制の下で生きることによって、そうした地獄の体験をしているのです。この体制は、権力の座にあったこれまでの六年間のうちに、アフガン大衆の抱える問題を一つも解決することができませんでした。タリバンの下では、彼らの主要なモットーだったいわゆるアフガニスタンの安定すら達成されませんでした。
 タリバンは、アフガンの大衆にとってそれに代わる勢力がなかったという、たった一つの理由によって生き延びてきたのです。北部同盟は、民衆を抑圧するという点では、タリバンよりましであるわけではありませんでした。タリバン体制は、帝国主義の介入のためというよりは、社会基盤のなさによって権力を喪失するでしょう。
 アフガン人指導者の最近の見積もりによれば、権力を防衛しているのは二万人の武装部隊であり、残りの二万五千人はオサマ(ビンラディン)のものです。こうした武装部隊のほとんどは権力を失うという恐怖を抱いています。彼らは、親密な友でありボスの一つでもあるパキスタン軍統合情報部(ISI)を失いました。独立した勢力だと見られてきたISIは、いまでは現在のパキスタン軍事政権の全面的影響の下にあります。九月十一日の事件は、パキスタン軍内部のこうしたイスラム原理主義勢力がしばらくの間、身を隠すよう強制したのです。
 この危機は、彼らがパキスタンに張りめぐらした生命線を失ったという事実によって判断することができます。アフガニスタンに関するパキスタンの戦略的立場、そしてISIがタリバンの活動に対してきわめて内部的な知識を持っていることは、彼らをきわめて困難な立場に置いてきました。
――ザヒル・シャー元国王というアメリカの政治的オルタナティブについてはどうでしょうか。

 老齢の元国王であるザヒル・シャーは、タリバンなき後の代替政権として帝国主義諸国によって提示されてきました。アフガンの民衆は内戦とタリバンによる弾圧によってあまりにも疲弊しきっているので、タリバン体制をただちに取り除きたいと思っているというのが現実の状況です。彼らはタリバンやその他の宗教グループ以外ならだれでも受け入れようとしています。
 九月二十五日にアフガニスタン労働者革命組織の指導者アディル・アン・アガは、すでにザヒル・シャーがパキスタンにいるアフガン人難民のほとんどから支持を得ている、と私に語りました。アフガン難民の多くが居住しているペシャワールには、ザヒル・シャー時代の旗がいっぱいです。
 一九七三年にザヒル・シャーは彼のいとこのダウド・カーンによって追放されました。彼は帝国主義者の積極的な助けによって権力の座につくかもしれません。しかし彼は名目だけの存在です。彼の背後にある真の権力は、息子のアーメド・シャーと義理の息子にあります。この二人は協調して、ザヒル・シャーの復帰のキャンペーンを行っています。ザヒル・シャーは名目だけのブルジョアジーのリーダーですが、彼の息子がほとんどの仕事をするでしょう。
 彼が、アメリカや他のいわゆる帝国主義の友人たちからの一定のめざましい経済的支援をたずさえてくることができるなら、彼が権力の座についてからしばらくの間は人気を得るかもしれません。しかしそれは不可能に思えます。オサマがいなくなり、タリバン時代が終わったなら、アメリカやその同盟国はなぜアフガニスタンをそんなに心配することがあるでしょうか。アフガニスタンは帝国主義諸国からの実質的な援助のないままに、もう一つの最貧国になりうるだけです。
 描かれている構想は、東ティモールの解決策以上のものに思えます。アメリカとNATO諸国の介入はタリバン体制を終わらせ、一年間ザヒル・シャー政権を打ち立て、国連の下で選挙を行い、選出された勢力に政権を引き渡すでしょう。しかし、ここでは東ティモールの大衆が持っていたような人気のある指導者はいません。それは、きわめて近いうちに起こりそうな介入の結果がどんなものであるかに依存します。
――人道的状況についてはどうなっていますか。

 最悪です。NGO組織の「シェルター」がキリスト教を広めたという理由で逮捕される以前は、彼らが毎日供給するパンを三百八十万人以上のアフガン人が手に入れていました。彼らの生存のための最も基本的な援助さえ失ったアフガン人のことを思い描くことができるでしょう。
 現在、アメリカの攻撃を避けるために五十万人以上のアフガン人が自分の住居を離れたと見積もられています。彼らはおもにパキスタンに来ました。アフガン人難民キャンプは身の毛のよだつような状況にあります。多くのアフガン人の子どもたちは、ラホールやその他の都市で物乞いをしています。ペシャワールやケッタの難民キャンプを離れることができた人びとは、きわめて最低限の賃金で職についています。彼らはパキスタン中の街角で靴磨きをしたり、茶や古着や小物を売っています。交通信号のあるあらゆる場所では、おもにアフガニスタンからやってきた赤ん坊をつれた母親たちが物乞いをしています。
 国連その他の機関からの人道的援助は、おもにテントと小麦の袋だけです。こうした品物は、腐敗した当局の手引きによってパキスタンの市場で売られています。
 二百万人以上の難民がパキスタンにおり、私たちが何かをしなければならないことを突然思い出したというのは、アメリカ帝国主義とその同盟国の偽善の最たるものです。彼ら難民たちはここに長い間いたのですが、見捨てられていたのです。国連機関によるかつての施策のほとんどは、せいぜいのところ、時には強制的な形で本国に送還するというものでした。
 アメリカが最近発表した特別援助は、ブッシュ政権による政治的戦争ゲームです。彼らはアフガニスタンの諸都市を爆撃する一方で、こうした難民たちにアメリカは最良の友だと信じさせたがっています。
――この国際情勢がパキスタンの政権にもたらす結果はどのようなものですか。

 パキスタンの将軍たちは、彼らがアメリカ帝国主義を支持する決定を行ったことで、非常な幸福感にひたっているに違いありません。おかえしに、いわゆる制裁が解除され、債務の返済期限が延長されました。こうしたことが意味するものは、彼らが受け取ることになる数百万ドルの特別収入であり、それが計上されずにすむことです。
 先行する一九八〇年代のジアウル・ハク軍事政権の時代には三百億ドル以上がこの国に注ぎ込まれました。しかしこのカネはどこに行ってしまったのでしょうか。それはおもにムジャヒディンとISIの手にわたりました。その時以来、宗教政党は何百万ドルもの価値の資産を作りました。新興富裕層のほとんどは軍部の将軍たちの関係者でした。つまり、軍の将軍たちがカネをもうける機会が再び訪れているわけです。
 しかし八〇年代と違い、新しい経済的支援の資金について山分けする、ムラーたちのようなパートナーは今回はいません。したがってウルドゥ語の言い回しに従えば「彼らのすべての指が油の中につかっている」のです。
 アメリカを支持するというムシャラフ政権の決定は、ベナジール・ブット(元大統領)のパキスタン人民党(PPP)をふくむ多くの野党も、さしあたり彼らの政策を支持して政府の仲間になることで、政権を強化するでしょう。もはや民主主義の復活について語られなくなっています。アメリカとその同盟国は、基本的人権を抑圧し、集会や抗議行動に許可を与えない軍事政権が存在していることを忘れてしまいました。
 しかしムシャラフ政権は、高揚する宗教的原理主義者に形を与えるというもっと大きな危険をおかしています。普通のパキスタン人の間で拡大しているのは、アメリカの介入に反対し、アメリカに対して戦っている人びとを支持する傾向です。とはいえ、この意識のレベルは地方によってさまざまです。しかしアフガニスタンとの国境地帯の都市では、アメリカの介入の可能性に反対するファナティックな宗教政党が支配しています。
 貿易業者や実業界の間では軍事政権への一定の支持がありますが、それは彼らが自分たちのビジネスにとって良い機会が来たと想像しているからです。しかし九月十一日の事件がパキスタン経済に厳しい打撃を与えたことにより、それは夢物語となるでしょう。多くの国のビザが、通例、パキスタン人に対して拒否されています。アラブ首長国連邦でさえ、普通のパキスタン人のビジネスマンにビザの発行を拒否しています。
 ある人の試算によれば、九月十一日の事件により、パキスタンの輸出の減少による損失は十五億ドル以上になります。多くの注文が取り消されています。したがって、アメリカや同盟国がパキスタンになんらかの支援をしたとしても、パキスタン経済にとって好機とはなりません。世界不況の下では、パキスタンへの目を見張るような援助の可能性はもはやありません。アフガニスタンにいかなる従属的政権ができてもそうでしょう。
 不幸なことに左翼政党の一部も、宗教的ファナティシズムを抑制するために軍事政権やアメリカに支持を与えています。パキスタン労働党(LPP)は、パキスタンにおいて市民社会組織の一部とともに軍事政権にも宗教的ファナティシズムにも反対する左翼政党の中の小さなグループです。LPPのメインスローガンは、宗教的テロリズム反対、軍事政権反対、アメリカ反対、民主的な社会主義パキスタンを! です。
(01年10月6日)
(パキスタン労働党のホームページより。www.labourpakistan.org)         



アフガンの左派活動家に聞く

タリバンは支持を失っており政権を失うだろう


 以下は、英国レーバーネットのウェブに掲載されたインタビュー。パキスタン労働党のファルーク・タリク氏が、「アフガニスタン労働者革命組織」のリーダー、アディル氏に対して行ったインタビューの報告(10月4日付)である。


bタリバンはすべての支持を失っており、まもなく権力を失うだろう。
bオサマは少なくとも二万五千人の戦士を擁している。
b左翼と右翼が一致してザヒル・シャー前国王を擁立しようとしている。
b金を持っている人は全員パキスタンへ逃れつつある。

アフガニスタン労働者革命組織

 アディルはアフガニスタンで活動している小さな左派組織のリーダーである。彼自身は亡命地にいる。彼は九月十六―十九日にジャララバードに滞在し、現地の雰囲気を観察し、党員たちと将来の戦略について話し合った。アフガニスタンへの入国は非合法だった。以下は九月二十四日にパキスタンのラホールで行われたインタビューの報告である。
 私は九月十六日にアフガニスタンに入り、ジャララバードに到着した。この町は完全なショック状態だった。すべての人が、すぐにでもアフガニスタンを逃げ出したいと話していた。ペシャワールまで行くには二十万アフガニ(二ドル)かかる。そこから国境を越えるためには、パキスタンの役人に五ドルの賄賂を払わなければならない。だから、それだけの金を持っている人は全員、逃げ出そうとしている。
 ちなみに、現在アフガニスタンの公務員の平均賃金は月三十万アフガニである。ジャララバードの日雇い労働者の賃金は一日一―二万アフガニである。アフガニスタン全国で、ひどい貧困が広がっている。賃金の遅配は日常化しており、半年間支払われていないこともある。人々はタリバン政権に飽き飽きしている。そういうことを公然とは言えないが、いまではタリバン政権が逃げ出すだろうと確信している。ジャララバードではほとんどの店や貿易会社は閉まっている。誰も市内で仕事をしようとはしない。まるで廃墟の町だ。

オマルの軍事力はタリバン以上

 タリバンが動員できる兵士の数は約二万人である。彼らは最良の友人であったパキスタンを失い、パキスタンからの軍事支援が難しくなっている。これに対して、オサマは二万五千人の兵士を擁している。彼らはパキスタン以外にも、中国、アルジェリア、ナイジェリアや、他のアラブ諸国から来ている。タリバンがオサマを米国に引き渡さないと言っているのは、彼らに勇気があるからでも、イスラムへの忠誠からでもなく、引き渡すことができないからだ。オサマはタリバンよりも多くのイスラム戦士を擁している。

支持を失っているタリバン

 彼らは完全に支持を失っている。ジャララバードで私が話した人たちは、タリバンに反対していると公言した。彼らを支持しているのはタリブ(学生活動家)たちだけだ。ほかにはアフガニスタンで彼らを支持する者はいない。彼らはアフガニスタンの歴史で最も不人気な政権だ。米国が来れば彼らは権力を失うだろうが、それは攻撃のためではなく、彼らが社会的基盤を持っていないからだ。これはソ連がアフガニスタンにやってきた時とは違う。アフガニスタンにはソ連に反対する人々がたくさんいた。米国とパキスタンもソ連に反対していた。
 しかし、現在の状況は全く違う。タリバンは長期にわたって米国と戦うことはできない。彼らは長期にわたって隠れていることはできない。彼らは権力を失うだろう。タリバンはこれまででもっともタチの悪い、残忍な政権である。われわれは最初から彼らに反対していた。しかし米国とパキスタンが最初から彼らを支持していたのだ。彼らは今、タリバン政権は悪だと言っているが、われわれは最初からそう言っていた。

タリバン政権内部の三つの傾向

 タリバン政権の中には三つの傾向がある。一つはもっとも徹底した原理主義者で、オサマを米国に引き渡すことに全面的に反対している。一つの大きいグループはオサマを米国に引き渡すべきだと言っている。三番目のグループはこの二つのグループのバランスを取っている。オサマは自主的に出国するべきだという決定には、この三番目のグループの影響が最も強く働いていた。問題は三つのグループがいずれもオサマの軍よりも小さいということだ。タリバンではなくオサマがアフガニスタンの実質的な支配者である。

北部同盟の三つの傾向について

 北部同盟は雑多な勢力からなっている。イスラム教民族運動を率いているアブドゥル・ラシド・ドスタムは、カルマルやナジブラ(ソ連に支持されていた政権の大統領)の親密な同盟者だった。彼は原理主義者ではない。アフガニスタンのウズベクおよびトルクメン人を代表している、シアフ教授が率いるアフガニスタン・イスラム教統一運動は、北部同盟の中でももっとも原理主義の傾向が強いグループである。このほかにアーメド・シャー・マスードのイスラム協会がある。
 九月十一日の事件を起こしたのと同じグループが九月九日にマスードを殺害した。マスードが殺されたのは、オサマが彼を九月十一日以降に抵抗闘争を指導できる唯一の人物だと考えていたためだ。彼はすでに多くの西側の政権から支持されていた。彼は原理主義者だったが、最近、右翼思想に転換した。ヒズブ・ワフダット・イスラムも北部同盟に参加している。北部同盟はタリバンを攻撃する準備を整えている。九月十一日の後に、マザール・シャリフで戦闘があった。タリバンの兵士八十人が死亡し、二百人が捕虜になった。戦闘はまだ続いており、まもなくタリバンがマザール・シャリフを失うかも知れない。ドスタム元将軍がすでに西側の一定の支持を得ており、前面に登場しつつある。

ザヒル・シャー元国王と暫定政権

 彼は八十六歳になるが、アフガニスタンでタリバンを除く全政党の支持を得ているようだ。少なくともペシャワールでは、いたる所に彼の政党の旗が見られる。それは黒と赤と緑の旗だ。われわれの党は現時点では、過渡期として彼を支持している。米国のプランは、タリバン政権の崩壊後、彼に権力を渡し、彼が一年後に選挙を実施するというものだ。しかし、彼が人々の問題を解決できないのは明らかだ。ペルシャの格言によると、悪いやつが政権を握っているが、そこからいいことも起こるとすれば、それほど悪くない。われわれは過渡期として彼を支持する以外に選択はない。

タリバンを育てたのは米国だ

 われわれは米国の軍事介入には全面的に反対だ。しかし、われわれはタリバン政権がただちに終わることを歓迎する。現在の状況をたとえて言えば、米国が育てた犬が手におえなくなったということだ。この犬をしつけるか殺すのは米国の責任だ。われわれは、われわれのやり方で、アフガンの人々にとって危険きわまるこの犬を始末する。米国とパキスタンは、アフガニスタンの安定化を期待して間接的あるいは直接的にタリバンを支持してきたが、事態は彼らの手におえなくなったのである。

シェルター・インターナショナル

 このNGOは三百万人以上のアフガンの人々にパンを提供してきた。タリバン政権は何の理由もなく彼らを逮捕した。食糧はどこかへ消えた。人々は苦しんでいる。
 これは人々の悲惨な状況を一層悪化させ、タリバン政権に対する憎しみをさらに募らせた。彼らはアフガニスタンにおけるNGOの活動を統制したいと考えていた。これは一般のアフガンの人々には評判が悪かった。


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